さまざまな人生
2008-09-11


授乳中
沐浴中
おむつの取り替え中
etc,etc…

あかちゃんとの生活では、
インターフォンや電話に出られないことが多いです。
昨日もあわてて受話器を取ったら「ツーツーツー」、
3回も電話に出そびれました。


そんな昨夜、一本の電話を受けました。

「あ…しらかばさんですか?」
聞き慣れない声、しかもかなり元気のない声。
自宅にかかってくる電話は、
身内かごくごく親しい人のはずだけど、いったい誰?

「はいそうですけど」
「わたし、○○です。覚えてますか?」
「…○○さんっていえば、××にいらっしゃった○○さんですか?」
「そうです。覚えていて下さった?」
「はい、もちろんですよ!ご無沙汰しています〜」

○○さんは、もう20年近く前に仕事で関わった、
マスメディア関係の会社××に勤めていた女性です。

特に親しいという関係ではなく、
社内で顔を合わせばあいさつをする関係、
数年間年賀状をやりとりしていた関係、
一度コンサートの案内を送ったら、
「行けないけどがんばってね」と、
電話を受けた記憶がある程度です。

そのころの彼女の印象は、
くりくりっとした目が魅力的な女性。
受話器から聞こえてくる声のイメージとは、
ずいぶん印象に差があります。

突然の電話に少々戸惑いつつも、
極力明るく対応する私とは裏腹に、
彼女の声はどんどんか弱く、暗くなってゆきます。

「あのね…わたし、あれからいろいろあってね。
仕事もいくつか変わって、母の面倒を見たりしているうちに、
仕事もなくなって…いまね、生活保護を受けてるの…。
おまけに骨折しちゃってギブスをはめている状態。
ねえ…、お願い、助けてくれない?」


いきなりの展開に戸惑いました。


「助けるというと…、どういう形が良いのでしょうか?」

「お金が必要なの」

しかし…親しい友人ならともかく、
20年近く前に仕事上で知り合った人から、
いきなりお金が必要、助けて、と言われても…。

とはいえ声の感じから、
精神的にもかなり追い詰められていると察しました。
振り込め詐欺ならいざ知らず、知人からの頼みです。
事情が事情なだけに、むげに断ることも出来ません。

彼女の振込先を聞き、
動けるようになったらほんの気持ばかりでも、
必ず送ると約束をして電話を切りました。


今思えば、××社も契約社員で働いていたのでしょう。
でも、海外旅行を楽しむあの独身貴族の彼女が、
こんなになってしまうなんて。

実は貧しいこの国のこと、
人生のこと、
いろいろ考えさせられ、
気持がどーーんと重くなる電話でした。

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